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【2026年8月時点】令和9年度(2027年度)概算要求|中小企業の補助金はこう変わる
2026年8月、中小企業庁から「令和9年度 中小企業・小規模事業者関係 概算要求等のポイント」が公表されました。令和9年度(2027年度)に中小企業が使える補助金がどう変わるのかを、成長支援・生産性向上の柱を中心に解説します。

令和9年度(2027年度)概算要求とは
概算要求とは、各省庁が翌年度に必要な予算を財務省に要求する手続きです。毎年8月末に提出され、その後の査定を経て、12月末の政府予算案、翌年3月頃の国会での成立という流れをたどります。
つまりこの時点の内容は「確定」ではありません。ただし、国がどの方向に中小企業支援を動かそうとしているのかが最も早く分かる資料であり、翌年度の補助金の輪郭はここでほぼ決まります。公募要領が出てから動き始めるのでは、準備期間が足りないケースが少なくありません。
経済産業省全体と中小企業関係の要求額
| 区分 | 令和9年度 概算要求額 | 令和8年度 当初予算額 |
|---|---|---|
| 経済産業省 関連合計 | 7兆7,859億円 | 3兆693億円 |
| うち 中堅・中小企業関係 | 1兆3,841億円 (うち投資枠 1兆2,818億円) | — |
経済産業省全体の要求額は、前年度当初予算の約2.5倍にあたる規模です。中堅・中小企業関係は1兆3,841億円が要求され、そのうち9割以上にあたる1兆2,818億円が「強く豊かな日本」投資枠として計上されています。「守り」の予算ではなく「投資」の予算として要求されている点が、今回の特徴といえます。
中小企業庁の6つの柱
中小企業庁の概算要求は、次の6つの柱で整理されています。
- 賃上げの後押し
- 官公需も含めた価格転嫁・取引適正化の更なる徹底
- 賃上げ起点の成長戦略と地域産業クラスター形成
- M&A・事業承継等の事業再編、早期の経営改善・事業再生
- 経営改革のための伴走支援体制の強化等
- 小規模事業者の活性化、社会課題解決に向けた地域における取組支援等
このうち、補助金の金額が集中しているのが3つ目の柱です。以下では、その中核である「成長支援・成長投資・生産性向上」の中身を見ていきます。
成長支援・成長投資・生産性向上|3つの方向性
資料では、この分野の方向性として次の3点が示されています。
1. 成長志向の中小企業を「創出するメカニズム」をつくる
成長投資支援を強化し、成長志向の中小企業の創出メカニズムを構築するとされています。対象として明記されているのは売上高1億円~10億円の企業と小規模事業者です。すでに大きく成長した企業だけでなく、これから伸びる層を意図的に引き上げようという設計です。
2. AX・省力化・デジタル化による抜本的な経営改革
AX(AIトランスフォーメーション)・省力化・デジタル化を通じた抜本的な経営改革を推進し、「省力化投資促進プラン」を着実に実行するとされています。人手不足対応が、単なる設備更新から経営そのものの作り替えへと位置づけ直されています。
3. 地域ごとにAI導入を支える「場」をつくる
地域ごとに、中小企業・AIサービス事業者・支援者(商工会議所、商工会、税理士、金融機関、自治体、大学・高専等)が集う場を「地域AXネットワーク」として全国に構築し、AI導入を伴走支援するとされています。「AIを入れたいが何から手をつけてよいか分からない」という声に、地域単位の受け皿で応える構想です。
令和9年度の主な補助金と要求額
| 事業名 | 令和9年度 要求額 |
|---|---|
| 中小企業基盤整備機構 運営費交付金 (成長加速化/省力化・デジタル化・AI投資/小規模事業者持続化/M&A・事業承継の各補助金を含む) | 6,980億円 (令和8年度当初188億円、令和7年度補正3,400億円) |
| サプライチェーン形成支援補助金 (地域の産業クラスター形成) | 2,376億円 (令和7年度補正4,121億円) |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助事業 | 2,200億円 |
| 小規模事業対策推進等事業 | 175億円 (令和8年度当初62億円、令和7年度補正97億円) |
注目すべきは、主要4補助金が中小機構の運営費交付金6,980億円に一括して計上されている点です。令和8年度当初の188億円と比べると桁が違いますが、これまで補正予算で措置されることが多かった大型補助金が当初予算側に位置づけられたことが背景にあると考えられます(資料では「一部既存基金の内数で実施」とも記載されています)。補助金ごとの金額は、今後の予算編成の中で固まっていきます。
中小企業成長加速化補助金|売上高100億円を目指す企業へ
賃上げへの貢献、輸出による外需獲得、域内の仕入による地域経済への波及効果が大きい、売上高100億円超を目指す中小企業の大胆な投資を支援する補助金です。工場新設や大規模ライン増設といった、これまで中小企業には手が届きにくかった規模の投資が想定されています。
省力化・デジタル化・AI投資補助金|人手不足とAX対応を一体で
人手不足や生産性向上等の課題を抱える中小企業・小規模事業者等を対象に、業務効率化やAX・DXの推進に向け、AIを含むデジタル技術の活用と省力化設備の導入を一体的に支援するとされています。
名称から見て、現行の中小企業省力化投資補助金とデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の流れをくむ制度と考えられますが、概算要求段階では申請類型や補助上限といった詳細は示されていません。「省力化設備」と「AI・デジタル」が別々の補助金ではなく一体で語られている点は、申請時のストーリーの組み立て方に影響します。
小規模事業者持続化補助金|「成長志向の経営計画(仮称)」が登場
例えば1億円を目指すなど、売上規模を拡大し「成長志向の経営計画(仮称)」を宣言する者を含む小規模事業者等が、経営計画を自ら策定し、商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む販路開拓等を支援する、とされています。
あわせて、小規模事業対策推進等事業(175億円)の中で、この宣言の仕組みを構築・運用することが明記されています。持続化補助金は従来「販路開拓の下支え」の色が濃い制度でしたが、成長を宣言する事業者を後押しする方向へ寄っていく可能性があります。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助事業|売上高10億円の宣言が要件に
中小企業等の革新的製品・サービス開発や、海外を含む新市場への進出等に係る設備投資等を支援する補助金です。令和9年度の要求では、成長志向型の中小企業をより多く創出していく観点から、売上高10億円を目指す宣言を原則として要件化すると記載されています。
ものづくり補助金と新事業進出補助金が統合された現行制度に、さらに「宣言」という関門が加わる形です。単年度の設備投資計画ではなく、10億円に到達するまでの道筋を語れるかどうかが問われます。
M&A・事業承継補助金
M&A・事業承継に際し、設備投資やM&A・PMIの専門家活用費用等を支援します。柱4では、事業承継税制の抜本見直しや中堅・中小グループ化税制の延長等も要望されています。
今回の概算要求から読み取れる3つの変化
変化1|売上目標が「階段」として制度に埋め込まれた
今回の要求で目を引くのは、補助金ごとに目指す売上規模が明示されたことです。
| 制度 | 想定される売上目標 |
|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金 | 例えば1億円 |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 10億円(宣言を原則要件化) |
| 中小企業成長加速化補助金 | 100億円超 |

1億円 → 10億円 → 100億円という階段が、そのまま補助金の体系になっています。自社が今どの段に立っていて、次にどの段を目指すのか。その答えが、使うべき補助金を決めることになります。
どの段を狙うべきか判断がつかない場合は、【無料】補助金診断で現状と投資計画をうかがったうえでご提案しています。
変化2|「宣言」が申請の入口になる
「成長志向の経営計画(仮称)」の宣言、売上高10億円を目指す宣言、100億円を目指す企業への支援。いずれも、補助対象になる前段階として、成長目標を対外的に掲げることが求められる構造です。制度の詳細は未定ですが、申請直前に数字を用意するのではなく、中期的な経営計画として社内で固めておく必要が高まります。
変化3|AI活用が「加点」から「前提」へ
補助金名そのものに「AI投資」が入り、地域AXネットワークという支援体制まで用意されました。AI活用は、一部の先進企業の取り組みではなく、生産性向上策の標準的な選択肢として扱われつつあります。省力化設備とAI・デジタルを切り離さず、業務プロセス全体をどう作り替えるかという視点が必要になります。

経営者が今から準備しておきたいこと
- 売上規模の目標を決める|1億円・10億円・100億円のどの段を狙うかで、使う制度も計画の書き方も変わります。
- 3~5年の数値計画を用意する|宣言型の要件が広がる以上、単年度の投資回収計画だけでは足りません。売上・付加価値額・賃金の推移をセットで整理しておきます。
- 賃上げの原資を計画に織り込む|6つの柱の1番目が賃上げであるとおり、賃上げは今後も要件・加点の中心です。
- 投資テーマの棚卸しをする|省力化設備、AI・デジタル、新事業、事業承継。どの投資がいつ必要かを一覧にしておくと、公募開始後の判断が速くなります。
- 認定支援機関に早めに相談する|公募要領の公表から締切までは短く、計画づくりから逆算すると準備期間はほとんどありません。補助金申請伴走サポートセンターでは初回30分の無料Zoom相談を承っています。
今後のスケジュールと注意点
概算要求の内容は、年末の政府予算案の決定、年度末の予算成立を経て確定します。制度名・予算額・補助上限・要件は、今後の過程で変更される可能性があります。また、令和7年度補正予算で措置された事業も並行して動くため、実際の公募時期は制度ごとに異なります。最新の情報は、必ず中小企業庁および各補助金事務局の公式発表をご確認ください。
よくあるご質問
令和9年度の補助金はいつから申請できますか?
概算要求の段階では公募時期は決まっていません。予算成立後、制度ごとに公募要領が公表されてからの申請となります。例年、年度前半から順次公募が始まる制度が多くみられます。
今の補助金(省力化投資補助金・新事業進出補助金など)は使えなくなりますか?
令和7年度補正予算等で措置された事業は、引き続き実施される見込みです。名称や制度設計が見直される可能性はありますが、支援分野そのものが縮小する内容にはなっていません。
売上高10億円や100億円を目指せない場合、対象外になりますか?
要件の詳細は公募要領を待つ必要があります。ただし、小規模事業者持続化補助金のように「例えば1億円を目指す」層を対象とする制度も用意されており、規模に応じた入口が用意される設計になっています。
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