6次産業化を目指す農家・農業法人が使える経済産業省系の補助金|活用と申請事例 - 株式会社Higurashi&Company

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6次産業化を目指す農家・農業法人が使える経済産業省系の補助金|活用と申請事例

最終更新日:2026年9月2日

農林水産省の補助金と、経済産業省の補助金は守備範囲が違います

農業者向けの補助金というと、まず思い浮かぶのは農林水産省の制度です。生産の効率化に取り組む際の農業用機械・施設等の導入を支援する「農地利用効率化等支援交付金」、畜産農家と行政・JA・飼料メーカーなどが協議会を組んで収益性向上を目指す「畜産クラスター事業(畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業)」、農地の集積・集約に関わる「地域集積協力金」「集約化奨励金」「経営転換協力金」「農地整備・集約協力金」などです。

これらは農業者に広く知られています。一方で、6次産業化を目指す農家・農業法人が、経済産業省(中小企業庁)系の補助金を使えることは、あまり知られていません。

両者の守備範囲は、おおむね次のように分かれます。

農林水産省の制度農産物の生産そのもの。農地、農業用機械、畜産施設、集積・集約 など
経済産業省(中小企業庁)の制度農産物の加工・販売・サービス。加工設備、直売所、EC、業務システム、省力化機械 など

6次産業化は、1次産業(生産)×2次産業(加工)×3次産業(販売・サービス)の掛け算です。この2次・3次にあたる部分が、中小企業向け補助金の対象になります。作ったものを加工して売る、直売所を開く、体験サービスを始める——こうした取組みが該当します。

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農家・農業法人が使える経済産業省系の補助金

やりたいこと使う制度
加工場を建てる、加工機械を入れる、新しい商品やサービスを開発する新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
選果・搬送・包装・除草などの人手のかかる工程を機械化する中小企業省力化投資補助金(一般型・カタログ注文型)
受注管理・生産履歴・ECサイトなどのシステムを導入するデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
直売所を整える、パッケージやラベルを作る、展示会に出る小規模事業者持続化補助金(通常型)
農業法人の世代交代、第三者への引継ぎを進める事業承継・M&A補助金

制度によって、農業者の扱いが違います

ここが一番の落とし穴です。同じ「中小企業向け補助金」でも、農業者や農事組合法人の扱いは制度ごとに異なります。各制度の公募要領の記載を整理すると、次のとおりです。

制度公募要領における農業者の扱い
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金農事組合法人が補助対象者として明記されています(農業協同組合法に基づき設立され、従業員数300人以下で、法人税法上の収益事業を行うこと)。会社・個人事業主は「その他の業種」として、資本金3億円以下または常勤従業員300人以下が基準です
中小企業省力化投資補助金(一般型)中小企業基本法上の中小企業者(個人事業主を含む)が対象です。農業を名指しして除外する規定は置かれていません
デジタル化・AI導入補助金対象となる法人形態に、農事組合法人・農業協同組合・農業協同組合連合会が明記されています。個人も対象です
小規模事業者持続化補助金(通常型)系統出荷による収入のみの個人農業者は補助対象外です(個人の林業・水産業者も同様)。農事組合法人も補助対象外です。ただし個人農業者であっても、農作物の加工や、農作物を用いた料理の提供等を行う事業については、その加工や料理の提供等に必要な経費は補助対象になります(農作物の生産自体に必要な経費は対象外)

持続化補助金だけ、扱いが大きく違う点にご注意ください。JAへの系統出荷しか売上がない個人農業者は対象外ですが、直売や加工品の販売を行っていれば、その部分について申請できます。まさに6次産業化に踏み出した方のための制度です。

なお小規模事業者の基準は、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)が常時使用する従業員5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他が20人以下です。

各制度の内容はこちら

制度全体の比較は、中小企業が使える主な補助金 7制度の要点まとめをご覧ください。

農業者が申請前に押さえておきたい3点

1. 生産そのものの経費は、通りにくい

中小企業向けの補助金は、加工・販売・サービスを支援する制度です。作物を作るための設備や資材は、原則として農林水産省の制度の領域になります。「作る」ではなく「作ったものをどうするか」で計画を組み立ててください。

2. 法人の形で結論が変わることがある

上の表のとおり、農事組合法人は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金やデジタル化・AI導入補助金では対象ですが、小規模事業者持続化補助金では対象外です。法人化や組織変更をご検討中であれば、使いたい制度から逆算して考える余地があります。

3. 同じ経費を重ねて受けることはできない

同一の経費について、国が助成する複数の制度から重ねて補助を受けることは認められていません。農林水産省の制度との併用をお考えの場合は、経費をどう切り分けるかが論点になります。

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公表されている採択事例

中小企業庁のミラサポplusと、事業再構築補助金の採択結果で公表されている事例から、農業に関わるものを抜き出しました。制度は統合されていますが、どのような取組みが採択されてきたかの参考になります。

新製品・新サービスの開発

  • ジビエ肉を商品化するための、ジビエ肉加工場機能の確立
  • 果物農家が野菜の生産を開始、機械化のための設備導入
  • 野菜苗生産農業事業者による野菜と苗の直売所の開設
  • 旬の味を常時提供するための新サービス構築

生産方式・生産プロセスの改善

  • 生産工程の集約と自動化による高付加価値化
  • 畑作・畜産事業の生産性向上のための土づくりの効率化
  • 牧場のスマート農業化
  • スマート農業による種芋の増産

新分野への進出・事業の転換

  • 設備工事技術を活かしたスマート農業市場への参入
  • 農業機械の開発・生産・営業のDX化による野菜・果樹・スマート農業への進出
  • 自社の強みを活用した農業×福祉事業への挑戦(農地の有効活用と障がい者の雇用拡大)
  • 廃棄木材ゼロへの挑戦。地域農業に貢献するおが粉生産体制の構築
  • 団体向け農業体験から個人向けの「食と農と環境の体験教室」への転換
  • 農業体験マッチングプラットフォームの開発

出典:補助金の申請事例(中小企業庁 ミラサポplus)
https://mirasapo-plus.go.jp/hint/7593/

事業再構築補助金 採択結果
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/result.php

当社の農業分野での支援実績

この取組みの詳細は、農業経営コンサルティングのページにまとめています。品目ごとの採算の出し方、実際に計算した例、進め方をご覧いただけます。

当社は、補助金の申請支援とは別に、農業経営そのもののコンサルティングを33件お引き受けしてきました。法人・個人の別を問わず、米穀・園芸・畜産の経営体が対象です。

進め方は、およそ3か月です。

STEP1事前面談。取組みの説明と、必要な資料のご相談、全体の日程を設定します
STEP2事業実態の把握と基礎的財務分析。経営体の概要、商流、作付スケジュールと作業フローを整理し、決算書に基づいて財務を分析します
STEP3経営者ヒアリングと品目別収支分析。目指す姿と課題認識をうかがい、品目ごとの収支実態を見える化します
STEP4解決策の立案と実行計画。課題ごとの打ち手と収益へのインパクトを試算し、誰がいつ何に取り組むかまで具体化します

途中でお打合せを4回、最後に報告の場を1回設けます。

一番効くのは、品目別の収支を出すことです

売上が最も大きい主力品目が、ご本人の労務費まで含めると赤字になっている——ということが、実際に起こります。感覚では分かっていても、数字にしなければ動けません。

ほかにも、こうした課題を扱ってきました。

  • 圃場ごとに反収がばらつき、その理由が共有されていない
  • 収穫・選果の作業負荷が、規模拡大のボトルネックになっている
  • 未稼働の圃場に、賃借料と草刈りの管理費がかかり続けている
  • 圃場管理のノウハウが特定の人に属人化している
  • 中核となる社員の高齢化に対して、若手の獲得・育成が進んでいない

補助金は、この分析の結果として出てくる打ち手のひとつです。先に補助金ありきではなく、経営の数字を見たうえで投資すべきものが決まってから、使える制度を選ぶ。この順番でご一緒できるのが、当社の強みです。

参考:ローカル10,000プロジェクト(総務省)

経済産業省の制度ではありませんが、6次産業化と相性が良いため触れておきます。総務省の「地域経済循環創造事業交付金」、通称ローカル10,000プロジェクトです。

地域資源を活用した新規事業の立ち上げを支援するもので、国に直接申請するのではなく、市区町村を通じて申請します。産学官金の連携が前提で、金融機関からの融資とセットで組み立てる制度です。地域の農産物を使った加工・販売事業は、この制度の趣旨によく合います。

ローカル10,000プロジェクト(地域経済循環創造事業交付金)の詳細はこちら

よくあるご質問

個人でも申請できますか。

制度によります。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金、省力化投資補助金、デジタル化・AI導入補助金は個人事業主も対象です。小規模事業者持続化補助金は、系統出荷による収入のみの個人農業者は対象外ですが、直売や加工品販売など商工業の取組みがあれば、その部分について申請できます。

農業機械の購入に使えますか。

用途によります。作物の生産に使う機械は農林水産省の制度の領域です。一方、収穫後の選果・洗浄・包装・加工に使う機械であれば、省力化投資補助金や新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の対象になり得ます。どちらに当たるかは、機械の使われ方と事業計画の書き方で決まります。

加工場を新しく建てたいのですが。

建物費が対象になるかどうかは制度と申請枠によって異なります。ご計画の規模と内容をうかがったうえで、対象になる制度をご案内します。

補助金はいつ受け取れますか。

後払いです。採択されても、いったん自己資金でお支払いいただき、補助事業が完了して実績報告が確認された後に給付されます。資金繰りを含めてご計画ください。

申請に必要なものはありますか。

多くの制度が電子申請で、GビズIDプライムアカウントが必要です。取得に2〜3週間かかりますので、早めにお手続きください。

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