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予算総額は前年比倍増、宿泊業の人手不足や「観光GX」「持続可能な環境計画」を重視 – 令和6年度(2024年度) 観光庁の概算要求
令和6年度(2024年度) 観光庁関係 予算概算要求概要がでました。
令和5年比2.2倍、多種類の補助金が出る予定ですので、ご興味のある事業者様はご着目ください。
令和6年度(2024年度) 観光庁の概算要求の概要
観光庁が2024年度の予算を倍増させたことは、環境業界にとって非常に重要なポイントです。総額約670億円で、主に持続可能な観光、人材不足の解消、通訳ガイド制度の強化などに充てられます。
持続可能な観光
162億6400万円が「持続可能な観光地域づくり」に要求され、これには地域資源の保全・活用やオーバーツーリズムの防止などが含まれます。
人材不足対策・通訳ガイド制度
「持続可能な観光地域づくり」へ前年度比で4.42倍に増加する162億6400万円が要求されており、この中には地域全体で観光産業を再生し、施設の高付加価値化を図るための120億円が含まれています。
さらに、「持続可能な観光推進モデル事業」に対する前年比1.45倍の2億1700万円の要求は、持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)の普及と、その実践を通じて観光地の質を向上させることを目的としています。オーバーツーリズムの防止を含め、環境と地域社会に配慮した観光業の発展を目指しています。
また、人材不足が深刻な問題となっている観光産業に対し、4億円の予算が要求されています。
最後に、訪日外国人旅行者の多様なニーズに応えるため、通訳ガイド制度にも前年度比で1.19倍となる7900万円が要求されています。
アウトバウンドや教育旅行の推進
地方のインバウンド(外国からの訪問者)観光誘致に1.05倍増の約636億円が割り当てられることが明らかにされています。特に注目すべきは双方向交流の拡大に、前年度比で3.5倍の7000万円が要求された点です。この戦略は、インバウンドだけでなく、日本人の海外旅行(アウトバウンド)も考慮に入れ、より広範な観光交流を目指しています。
政策の一環として、アウトバウンド先となる各国・地域の政府観光局との連携を強化することで、情報発信を効果的に行い、旅行者のニーズに応じた海外旅行商品の開発と提供を促進します。
さらに、海外教育旅行の推進も予算要求に盛り込まれています。SDGs(持続可能な開発目標)に関連する教育プログラムのような付加価値の高い内容の開発が計画されています。旅行会社、学校関係者、各国・地域の政府観光局と連携し、現地特有の教育プログラムを開発、実証する予定です。
風評被害対策
新しい予算要求において、復興枠で注目されるのはブルーツーリズム(海洋観光)の推進に、前年比で1.61倍増の4億3500万円が要求されている点です。この予算は、ALPS処理水の海洋放出による悪評対策として配置されており、海洋レジャー活動を通じて海の魅力を国内外の人々に体感させ、観光客を引きつけて定着させる狙いがあります。
また、国際観光旅客税の活用に関しては、負担者の納得、費用対効果、地方創生といった政策課題との調和を基本としています。特に、新規性や緊急性が高い施策への資金配分が優先される方針です。
令和6年度(2024年度) 観光庁 予算概要要求総括表
(単位:百万円)
令和6年度要求額(A) | 前年度予算額(B) | 対前年度倍 率(A/B) | |
(1)持続可能な観光地域づくり | 16,264 | 3,682 | 4.42 |
地域における受入環境整備促進事業 | 1,896 | 1,643 | 1.15 |
観光地・観光産業における人材不足対策事業 | 400 | 150 | 2.67 |
持続可能な観光推進モデル事業 | 217 | 150 | 1.45 |
観光DXを通じた先進的な観光地創出のためのモデル事業 | 900 | 900 | 1 |
通訳ガイド制度の充実・強化 | 79 | 66 | 1.19 |
健全な民泊サービスの普及 | 100 | 100 | 1 |
観光統計の整備 | 673 | 673 | 1 |
地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化(注1) | 12,000 | ‐ | ‐ |
(2)地方を中心としたインバウンド誘客の戦略的取組 | 6,361 | 6,059 | 1.05 |
地方部での滞在促進のための地域周遊観光促進事業 | 563 | 563 | 1 |
戦略的な訪日プロモーションの実施 | 5,518 | 5,240 | 1.05 |
MICE誘致の促進 | 210 | 180 | 1.17 |
双方向交流拡大に向けた各国政府観光局等との連携促進事業 | 70 | 20 | 3.5 |
地域の資源を生かした宿泊業等の食の価値向上事業 | ‐ | 56 | ‐ |
(3)国内交流拡大 | 904 | 679 | 1.33 |
新たな交流市場・観光資源の創出事業 | 854 | 649 | 1.31 |
ユニバーサルツーリズム促進事業 | 50 | 30 | 1.67 |
(4)その他(経常事務費等) | 583 | 552 | 1.06 |
合計 | 24,112 | 10,973 | 2.2 |
(注1)令和4年度第2次補正予算において措置した国庫債務負担行為の歳出化予算を計上。
※ 本表における計数は、端数処理の関係で、合計した額と一致しない場合がある。
※ 本表における計数は、政府情報システムに係る経費(デジタル庁一括計上分)を含む。